イモレと呼んで、

夫と息子とわたしのつまらなく幸せな日常。

これは夢の話。


恋人にはわたしの他にも女がいた。
はじめはしらばっくれていたのだけれど、確証を突き付けると、白状した。
悲しそうな顔をして言った。
「ごめん、去年の秋から続いていた。」
とても悲しそうな顔だった。
自分が一番辛いんだ、みたいな顔。
違うだろう、辛いのはわたしだ。
裏切られていたのはわたしだ。
でも不思議。
怒りよりも悲しさの方が圧倒的に占めていた。
嗚咽を上げながら、半分夢の中、半分現実にいた。
現実の恋人に「どうしたの?」と言われて覚醒。
まだ体中から悲しさが込み上げていた。
これは夢の話。
わかっているのに、泣きじゃくった。
わたしが寝ながら泣くのはたまにある。
だから恋人は慣れている。
わたしが起きるとすぐにまた眠ってしまった。
本当は抱きしめて欲しかったのに。
仕方がないから自分から腕の中へ潜った。


こういう時に痛感する。
わたしは恋人を心底必要としているんだな、って。
これが愛なのか?